スキーがこどもの成長に良い4つの理由
ママがいつもよりやさしい(!?)、 雪上ではババがいつもよりカッコいい(!?)など、たくさんの恩恵を与えてくれるファミスキ。 もちろん子ともたちにだって、 いいことがいっぱい! スキーを親子で楽しむことの中には、子どもが成長していくうえで大事なことがたくさん詰まっています。幼児・児童の発達心理に詳しい心理学の先生監修のもと、スキーが子ともに良い理由をまとめました。これを読んだら、今すくわが子をスキーに遍れて行きたくなるはず! 解説=石崎ー記(Kazuki ISHIZAKI) 東京成徳大学 応用心理学部教授 学校心理士、公認ネイチャーゲームトレーナー。自然体験活動2種トレーナーの資格を持ち、発達心理学、環境教育、児童心理等が専門領域。日本心理学会、日本教育心理学会、日本発達心理学会、日本カウンセリング学会等所属。主な著書に「教室の動機づけの理論と実践(共著)」、 「援助的サマースクールの研究」などがある。1) 人生の主人公になる!スキーは自律性を育てます。
自己決定の場面がもっとも多いスポーツなのです。
スキーが子供に与える影響でもっとも大きいのは「自律性」が育まれることです。自律性とは「やりたいと思うからやる」と、自分が自分自身の行動の主人公になるということ。これを育てるためには次の3つの要素が必要となります。 まずひとつめは「有能感」。自分には周りの環境に対して影響を与える力があるという自信、「自分はできる」という感覚で、達成感もこれに含まれます。ふたつめは「自己決定」。これは、自分で考え、判断して世界と関わる、人間の基本的な欲求です。「自己決定」の実感が得られるときは、そのことを「おもしろい」と思い、見た目にも生き生きしています。そして3つめが「関係性」です。自然とふれあうことで、自分も自然の一部であることを実感できるようになります。また、同じ時間を共有する親や仲間など、人とのつながりも豊かにしてくれます。
自然の中での体験は、「自己決定感」と「有能感」とにささえられながら、自然と自分、人と自分とのつながりを、実感をもって理解することができる場なのです。とくにスキーでは、たとえば「この斜面は小まわりで滑ろう」とか「ここは人が多いから端を滑ろう」という判断。スピード、ターンのタイミング、ライン取りなどはすべて自己決定に委ねられているので、うまくいったときは有能感を感じることができます。 このように、自己決定や有能感を体験できる場面は、スポーツの中でスキーが一番多いと言えるでしょう。技術も多彩で、決められた道筋もない。そういう状況の中で、子どもたちは知らず知らずのうちに自律性を育んでいるのです。
2) 自然体験が五感を刺激して心身の発達を促進します
実体験から得られる”リアリティ”が大切
自然の中で遊ぶことは、自分の感覚を使って周りからの刺激を受け取り、それに運動機能を使って反応するという、直接的な感覚運動体験です。これにより、”リアリティ”を得られるのが、子どもが外で遊ぶ一番の意義。幼い頃の外遊びや自然体験が不足すると”リアリティ”を培うことができません。ゲームばかりで遊ぶ子の発達の歪みが問題になるのは、ゲームそのものの弊害以上に、こうした実体験の不足さがさまざまな問題を引き起こすからなのです。 自然の中にいるとき、私たちは感覚をフル回転して使っています。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、また、深部体性感覚と言われる、筋肉の疲れやめまい、スピード感などを、身体全体で感じています。こういった身体感覚が、現実感を裏付ける基礎となり、知能の発達をも促すのです。
もちろん五感を刺激する体験は、屋内や遊具のある公園でもすることができますが、自然の中に比べると、体験の幅はずいぶんと狭くなります。人工的な環境、たとえばジャングルジムなどの遊具は、子どもの遊び方や体格などを考えて設計されているため、子どもたちは工夫の余地なく、ただ安全に遊ぶことができるだけなのです。ところが自然の木は、子どものためにその場所に立っているわけではありませんから、「木に登りたい」と思ったら、たくさんの工夫をしなければなりません。このように自発的に試行錯誤する中で得る”リアリティ”が、すべての基礎になってくるのです。スキーももちろんそうですが、自然体験や野外活動、外遊びは、子どもの心身の発達を促し、人間としての生きる力を養うものなのです。
3) 同じ楽しみを共有すると親子の結びつきが豊かに
大人にも子どもにもスキーの思い出は”財産”
親子でスキーをするという共通体験が子どもに与える影響は、とても大きいもの。滑り終えたときに感じる達成感や爽快感、心地よい体の疲れ、そして、頬に感じる冷たい風の感覚・・・、スキーならではのこうした場面を親子でともに経験し「気持ちいいね!」と、笑い合う・・・。記憶の中に、スキー場でお父さんお母さんがあんなことをしてくれた、という姿が残るのが、子どもたちにとっては一番の”財産”になります。 また、親御さんにとっても、自分たちが子どもとの関わりの中で同じ時期を共有し、たくさんの体験をさせてあげられた、ということが大きな”財産”に。子どもも親もどんどん成長していきますから、子どもにとってスキーが「一生好きな趣味」にならなくても良いのです。幼児・児童期のある一時期、子どもと親が同じ楽しみをもって共通体験をし、いっぱい話をして、子どもは親を尊敬し、親は子どもに愛情を注ぐ時間が過ごせる。そのことにスキーが貢献しているとしたら、それはすばらしいことです。そうやって愛せれていると実感して、子どもは安心して成長することができるのです。 さらに、家族でスキーをすることで、親子の気持ちの結びつきも強くなります。スキーに限らず、自然の中にいると、多幸感をもたらす「エンドルフィン」というホルモンが分泌され、人は幸せを感じるようになります。こうした幸福感に満たされた状況とともに体験することで、親子の情緒的な関係がますます豊かになるのです。
4) 子どもたちはスキーを通して生きる力を育んでいます
「やればできる」があらゆる面で生かされる
「スキーが好きになってから、勉強もよくがんばるようになった」という話をよく耳にします。これは、子どもたちがただスキーをしているのではなく、スキーを通して一般的な力を身につけているという証です。たとえば目標を設定し、それを達成するためにはどんな手段を使えば良いのか、スキーが上手くなるためにはどんな努力をすれば良いのか、ということを自分で考え判断しているのです。上達するためには、本ばかり読んでいても仕方ないし、ましてや「わかんない!」と文句を言っても何も解決しない・・・ということに気づき、課題に取り組む姿勢が自然と身についていきます。
そして、もうひとつ大切なのが「自分はやればできるんだ」という自信がつくこと。これは、自己効力、有能感という子どばでも表現されるもので、自分に対する信念のことです。これが育つことはとても重要で、何事も「やればできる」と思うから一所懸命に取り組むのであって、「オレなんかダメだ」と思っていたらやらないのです。「自分ががんばったからスキーができるようになったんだ」という自分に対する考え方は、勉強の面でも「がんばったらできるはずだ」というふうに発展し、さまざまな困難に直面した時にも万能に働くようになります。
この冬、雪の上でたくさんの”本物”体験を!
家族て雪山に行くだけて、子ともたちの世界はぐんと広がリます。その中て体験したこは、子ともたちにとって間違いなく「本物」。彼らが心を動かしたリ成長てきるのは「本物」だけなのてす。匂い、昧、音、肌ざわリ、暑さ・寒さ、そしてもちん視覚からも「本物」にたくさんふれて育った子ともは、やがて大人になったとき、直接自分で体験しなくても、自分の本物体験を材料に、さまざまなことを想像てきるようになリます。 これを「豊かな人間性」というのてす。 雪山は感党を刺激する要素がいっぱい詰まった場所。最初から「スキーをしよう!」と気負わずに、ますは子どもといっしょに出かけてみてはいかがでしょうか。